今日は雨の日曜日。

家人は外出、息子に昼食のカレーを食べさせてひと段落。
余裕もできたので、先日の入園式のことを書きます。

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息子が通う区の療育センターは、昨年夏に息子を診断してもらって以来半年間、週に1度 療育教室に通っていた(皆勤じゃなくて休みが多かったけど)出来てからまだ7年くらいの県内でも新しい施設。
我が家の10年選手のスカイブルーのFIATも、息子にとってはもう[お馴染み]の存在。
車に近づくと手でつん、と車体を触り、後部座席のチャイルドシートに乗り込む準備をする。

車で約20分の道程も、息子にとってはもう馴染みのついてきた風景だと思うけど、これからは毎日の道程になる。
最初の1年は母子通園で、次からはひとりで送迎バスによる通園となる。
バス停からひとりでバスに乗って…という姿はまだとても想像できない。
でも、今日のように施設に通園して知らない子どもたちと一緒に過ごすことになること事態、半年前は想像できなかったこと。

センターに到着して、車から降りて自分の足で自動ドアをくぐる。ここまでは[いつも通り]でOK。
そしていつもならエレベーターで2階に上がるはずなのに、今日(から)は1階で受け付けがあり、クラス分けに従って1階の各教室へまず移動。この時点で息子にとってはアウト。
”いつもとちがーう!”とぐずって動かなくなり、なだめすかして抱っこで教室へ。

センターの園児構成は、通常の保育園と同様、年長・年中・年少となり、大きな子どもは【らいおん】【ぞう】といったそれなりの動物名のクラス名に。
さらに分けると同じような症状/障害、体型でクラス分類され、息子は年少のクラス分けで【りす】【うさぎ】そしてもうひとつの【あひる】ぐみに。
親子でよちよち進んでいく、というイメージ。ふふ。

【あひる】は息子と同体格くらいの子どもたち7名の集まり。
同じ自閉症といってもクラスの中はアクティブな子が多くて、当然のごとくどの子も落ち着かず、ぐずったり泣いたり騒がしい。
その中で息子はひたすら「忍」の一文字で、冷静になろうと頑張っていた。
けど自分の領域(テリトリー)に入ってきた子の髪の毛をむんず、と掴んでまず一泣かせ。
…これからもこういうことが数多く起こるんだよね。

クラス内で簡単な説明があった後、ホールにて入園式。
施設の全職員、来賓、保護者、そして在園生を含む子どもたち、合せて300人くらい?がホールに。
当然のことながら落ち着かない子ども続出、阿鼻叫喚のホール内。
先生たちのメッセージなんてまともに聞こえやしねぇ。

息子といえば、ぐずったり逃げることもできないと観念してか、喧騒の中で必死に頑張っていた。
…彼の場合の”頑張る”というのは親の膝の上に体を預けて身を硬くすること、なんだけど、その姿にパパもママも”頑張ったね、えらいね”と感激。
ギャーギャー叫んで逃げ出したい気持ちもあったろうに、自分を何とかコントロールすることを学んでいるみたいで、それだけでも良かったと思う。
園に通う子どもたちは息子のように見た目は普通の子もいればダウン症の子らや肢体不自由のために電動カートに乗った子どもたち、モルキオ症候群の子など様々。
その子どもたちに共通するのは、”頑張る”ということの意味を切実に教えてくれる子ら、ということ。

この園で息子に身につけてほしいことは、何にでも頑張ることで違うことが感じられること、違うものが見えてくる、ということ。
頑張ることが自分の成果や期待する結果に結びつくとは限らないけど、まず頑張ることで自分を認めて、勇気を持てるようになれば、と願う。

式のあとは再び教室に戻り、保護者(母親)に対する生活説明。
その間は子どもの数に充分な知育おもちゃでそれぞれ遊ぶのだけど、息子が遊んでいるおもちゃを横から取る子もいたり、やはり落ち着かないのは同じ。
しばらくは我慢していたものの、途中から外に出たがったのでいっしょに園庭のすべり台で鉄段を昇り降り。 
年中か年長くらいの、背の高いきれいな顔立ちの女の子がおなじすべり台で遊んでいた。
でも足元は裸足で、ああやはりここはそういうところだよな、と再認識。
教室内での先生の話も終わるころなので、そろそろ中に戻らないと…と思っても、息子は昇り降りをなかなか止めそうにない。 

公園で遊ぶときであれば好きなだけやらせてあげることも出来るけど、これからは”やっていいこと/もうやめなきゃいけないこと”についてもしっかり理解してもらわなければいけない。
いちばん根気のいることだし、理解力に乏しい息子にとってもつらいことではあるだろうけど。

本日の予定は午前中で終わり、通園用の通用門を通って駐車場の車に乗り込んだところで息子、緊張の糸が切れて”わーん!!”と大泣き。
でも、今日どれだけ彼が頑張ってくれたか判っているから、その泣き顔もとても愛おしい。

家に帰り、息子を着替えさせて、会社に向かい家を出る。 
事務所に行く前に、頑張った息子…と自分に向けて、”つばめ”で祝杯。

江口寿史もベタ褒めのつばめ。 自分以外にも結構、昼間からビールを飲んでるビジネスマンは居りましたよ。

ほどよいほろ酔い気分で、桜を見ながら平和大通りを歩いて事務所へと向かいました。

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入園式が木曜日で、本格通園開始が金曜日、その後の土日はお休み。
母子ともに慣れない生活の開始を考慮した日程の組み方だと思うけど、すでに一日目で母子共々クタクタの様子だった。

生活の基本的な流れは、朝9時半登園~集団あそび~給食~お着替え/お昼寝~再度お着替え/お別れ帰宅、という構成。
その中で息子は勿論、他の子もいろいろと慣れない/大変なことばかりだった様子。 

微笑ましいエピソードとしては、おなじあひるぐみの中でも息子と同じ静かなタイプのS君という子がいて、その子がお昼寝の時間、いつの間にか息子のふとんにもぐりこんで一緒に寝ていたということ。
ふたりはまだ友だちにもなれてはいないはずだけど、同じタイプ同士(とS君が思って)、安心できる相手として布団に入ってきたのかもしれない。

「この子に1人でも好きな先生やお友達ができて、そして1人でもこの子のことを好きになってくれる人ができたら、それ以上望むことはありません。」

これは僕の大学の後輩で、脳性麻痺の息子さんを持つ母親の言葉。
全く同じことを、僕も願う。
そしてそれが単なる夢ではないことを信じている。
園には信頼できる先生・スタッフの方々がいっぱいいて、そして何より、息子のちからを信頼しているから。

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今日の息子、まだお昼寝してくれません。

「ねむねむする?」と訊いたら、パパの手を引っ張って寝室に連れて行き、パパを寝室の中に押しやってから自分はまたリビングに戻っていきました。